佐々木家のシックハウス戦争02
訪問業者の営業には気を付けたほうがいいよ、といった佐々木家の奥様の友人からの忠告に奥様も少し気にかかりましたが、やはり、家全体のシロアリ駆除と建具の全面取り換え、給湯器の取り換え、トイレ周りの改修をその工事内容にしては格安とされる大規模リフォーム計画のコストにメリットを見出していた奥様はさほど危機感も無く、その業者に対して全面的な信頼と納得もしていました。
工事内容の見積もり明細の内容はこう言ったものでした…
① シロアリ駆除は別の下請け業者の請負で行われます。
② 建具も価格面と比較して良質なものを、給湯器、トイレ便座などは、別の施工で予備として余った製品の流用のため、半額近い低価格での提供となります。
佐々木様ご家族は、一度も業者の事務所を訪れることなく契約書にサインをしてしまいました。
一か月以内のスピード施工と言ったところも好条件としての部分でした。
一か月後、リフォーム施工も無事終わり、自宅に戻られた佐々木様、そして工事費用をすべて営業担当に手渡して、領収書ももらい、リフォーム計画は全て完了しました。
自宅に戻られた佐々木様は、自宅内の薬品のにおいが強くて、少し不快な感覚を覚えました。
その上、給湯器の号数は、4人家族にしては、キッチンでの給湯と浴室での同時給湯に無理が生じて大変使いにくいものでした。
後日、佐々木様は、施工業者の事務所に電話を入れます。
なかなか通じないことに不安になって、直接事務所に足を運びました。
その直後です、その業者が、架空の所在地を明記した書類で営業をしていた悪徳業者だとわかったのは。
一応、市町村の生活相談室に相談を入れて、話を聞いていただきました。
契約内容と実際の施工に大きく相違点もなく、
確かに、手抜き工事をしている可能性も高いながらも現時点で詐欺罪は当たらないという事。
もっと深刻な事態となっても、契約書の記載状況から、架空業者として施工を担当した訴えること、そしてその業者の所在を突き止めることは困難であることははっきりしていました。
そうこうしているうち、自宅で生活している奥様は、慢性の咳と体調不良を訴えるようになります。
かかりつけの耳鼻科を訪れた奥様は、その症状がシックハウス症候群の典型的な症例であると告げられます。
そのうち、二人のお子様も、奥様ほど強くないにしろ体調の不快感を訴えます。