織田家の細密マイホーム計画05
織田家邸のご主人、一郎様は、当初、建築計画にいろいろと悩まれていました。
どの工法で建てていけば、一番長持ちしていくのか…?
どれだけ、知識を蓄えていけば、マイホーム計画は成功したと言えるのか…?
結局、父親のように慕って、いつも何事も大切なことは相談していた、唯一年上で気の許せる人、恩師を失ったことで、一郎様は、しばらくふさぎ込むというより、何か一郎様の中で変わったのだと思われます。
答えなんてないよ…何か問題が起こるたび、一郎様は正しき解決法なんてどこにも無いのだと…そう考えるようになった一郎様、以前より更に柔らかい印象を周囲に与える人物となって行きました。
一郎様は、ご家族に一つずつ、新しい家に求める夢、それだけを聞いていました。
奥様は、広いアトリエ、陶芸に使うアトリエが欲しい…
長女のゆかり様は…三階建ての家が欲しい。自分の部屋には三階の高い場所からのベランダが欲しいこと…
長男の優太様は、住宅展示場でよく目にした吹き抜けとして高い屋根の部屋や玄関が欲しい…
結局、一郎様は正直なところ、かっこいい外車を将来買ってみたとき、一緒に並べても絵になる外観の家にしたいと言った希望に落ち着きました。
都市型コンクリート住宅、それにはそれなりのメリットがあります。
何より。広い敷地が必要のない事、限られた敷地を購入して、建ぺい率、住宅を建てる際の法的な制限に注意して、比較的便利のいい場所に小さな土地を購入して、地下室や三階建ての建物として、モダンで近未来的な新居を建てていくこと。一郎様には今回の新築計画で発見した新しい夢がありました。結局自分は今まで気が付かなかったけど、カーマニアなのだと。これからの人生、今のありきたりのバンではなく、いつかは外車を買ってカッコよく決める、そんな夢を持って生きよう…
織田家の建築計画は結局あっさりとそこに落ち着きました。
家は家族4人の全員の希望に沿っていればいい、それ以外に必要な大切なものは無い、一郎先は、そういった割り切り方をされていました。