家づくりブログ|ストーリー形式で家づくりについて詳しくなりましょう

ストーリー形式で家づくりについてご紹介していきます。家づくりについて学びたい人は読んでみましょう。

建築家佐藤【堂林家の新築計画01】

福祉関係のケアー施設に介護ヘルパーとして勤務している浩二さんは、長い介護ヘルパー職のキャリアにやや自信がありました。
私建築家Xが浩二さんと知り合うようになったのは歯医者で診察待ちしていたとき、私の読んでいたコミックに気が付いて話しかけてきた浩二さんからのアプローチ、すべての交際はそこから始まりました。
…それは妻の描いた漫画なんですよ…と気安く話される浩二さんに私も感じのいいものを覚え、意気投合しました。
 漫画家としては新鋭の奥様が、実は下半身麻痺で自宅での生活を中心に毎日を送っている重度の身体障害者であると知ったのは、彼の住むアパートにのちに遊びに行った時でした。
 彼同様、一応ファンでいるつもりのペンネームを使わない奥様ともメール交換してメル友になった私はその頃から奥様の漫画作品に更にひいきになって行きました。

 奥様は、漫画家として独立される以前から障害者介護施設で身の回りの生活を自分でできるような訓練を受けておられました。そこでヘルパーの旦那様の浩二様と知り合われたようでした…
 私建築家Xはどうも10歳年下の友達ができやすいのか、
 30代半ばのヘルパーの浩二さん、以前よりファンである奥様のコミック作家 理恵様とも同時に二人の丁度10歳年下の友達が新しくできました。

 私が建築家として売り出していること、などを知った、D家の浩二様、理恵様は思い切った形で私に質問攻めをしてきました。
 …いまバリアフリー住宅の新築計画があるんですよ…
 私は正直、戸惑いました。
 私の担当している家の新築やリフォームは遊び心をふんだんに取り入れることや、空間としての構築に実験的なことをやる意味では自信を持っています。しかし、機能重視のバリアフリー住宅の新築工事に果たして私は向いているのか、正直疑問でした。
 奥様の理恵様は目を丸くして、外国のような家に住んでみたい…と私に食い入るように向かって、漫画の資料としてこれまで集めてきたヨーロッパの建物の写真を見せてくれました。

 全ての建築計画のスタートラインはそこからだったのです…